NTTにはこれまで全国どこでも電話が同じ料金で使えるようにする義務が課せられていましたが、2009年にこの制度を廃止することになりました。
なぜかといいますと、利用者の固定電話離れで加入者数は減る一方、赤字も2006年度は848億円とのこと。その赤字を埋めるためユニバーサルサービス料が利用者に課金されていますがその補填額100億円規模を投入しても赤字は解消しないからとの理由です。
当初の予定ではそのユニバーサルサービス料を2年度9~13円、3年度13~17円と徐々に値上げしていくはずでしたが利用者からの批判が急増し辞退せざるを得なくなりました。
これにより、赤字の増大を抑えることができなくなったとして固定電話の全国一律制度を廃止することになったというのが総務省の見解です。
固定電話は場所による制約を受けず一律の料金で利用できるという点においては日本郵便(旧郵政公社)の手紙や葉書と同じですね。市内、県内、県外など距離による通話料金の違いはあっても料金体系は全国一律でした。
離島も東京都心の丸の内でも一律の料金制度です。しかしそのサービスを提供するのにかかる設備費用は場所により大きく変わるそうです。特に人口の少ないところでは利用者一人当たりの設備費用が大きくなるとの事です。
電電公社時代に公共サービスとして行なう分には税金投入で採算度返しでできたのかもしれませんが民営化して利潤を独自に上げなければならなくなるとお役所体質のNTT(旧電電公社)ではどうしても利益を生む方法が見つからないのかもしれません。
そうは言ってもNTTドコモなどは2006年度の純利益は4,573億円とのことです。同じNTTグループなのですから資金提供したりできないものなのでしょうか。
固定電話加入者の減少の原因は携帯電話の普及が原因でもあるわけですから。
今後は、設備費用を安くできるIP電話への移行が促進されていく模様です。
IP電話はまだまだ課題も多く特に頻繁に起こる電話がつながらなくなる状態は何とかして欲しいです。
この10月だけでも現在までにすでに2件の障害が起こっており、10月24日には東京都の一部で3時間半にわたってつながりにくい状態が発生、10月19日には22日までの間、東日本全域で東京への通話が一部利用できない状態が続いてました。
2007年10月23日にYahoo!ニュースで読んだのですが、インターネットコムとgooリサーチが行った「災害時に関する調査」によれば、
地震などの災害発生時に家族や友人に連絡を取る人の約53%は固定電話を使うということです。平常時でも故障するIP電話サーバーが災害時に故障したらきわめて広範囲の多くの人が家族友人に連絡できない状態になってしまいます。
携帯があるといっても今度は固定電話でかけていたはずの53%もの人がいっせいに携帯で連絡を取ろうとすれば、今まで携帯で連絡を取っていた22%の人とあわせて実に75%もの人が集中することになり携帯電話の回線がパンクしてしまうかもしれません。
全国一律制度が廃止されることで、過疎地からの通話料金が大きく値上がりするか、悪くすると通話そのものもできなくなるのではないかと危惧しています。
総務省は無線を使ってそういう地域をカバーする案などを考えているようですがだれにでも当たり前のように使えた電話は今、そうでなくなりつつあります。
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